孫の代理出産

50代の母親が30代の娘の代理出産をしたことが波紋を呼んでいる。

日本では家族関係が複雑になる等の理由で日本産科婦人科学会が禁止しているからだ。

代理出産を請け負った諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長は、

遅れた法整備で意味の無いものならば守る必要がない、と痛烈に非難している。

同感だ。

反対する人間の意見を聞いているとどれもこれも間抜けなものばかり。


生まれた子供が複雑な気持ちにならないか、と言い出す者ががいるが

正直これは杞憂。所詮は自分が誰の子宮から産み落とされたかだ

けというだけのものであり、精子卵子は実の親のもの。

実の母親が子宮癌により産めなかった、という身体的理由を受け入れられない

子供がいるとは到底思えない。不毛な議論とすら思える。

根津院長曰く、「『おばあちゃんのおかげで生まれたんだよ』と小さい頃から

教えていけば問題ない」とのことだがその通りだろう。


日本では産み落とした母親しか戸籍上の母親と認めないという法があり、

日本産科婦人科学会の「家族構成が複雑になる」というのもそれを盾にとって

のことだろうが、その法自体の存在理由も不明。

両者の間で事前に契約を結んでおけばいいだけのことだ。

「産みの痛みを知らなければ愛情がもてない可能性が」などと言い出す者もいるが、

間抜けの極み。そもそもが子供を産んで育てるというのは人間の生き方の根幹にかか

わる問題であり、身体的理由で埋めず子供を心から欲している人間が、

自分が産まなかったという理由だけで子への愛情を欠落するとも思えない。

そもそも父親に産む痛みを知る者などこの世にいない。

問題があるとすればそれこそ出産者の精神的・肉体的不安くらいだが、

それも事前の精密な検査を義務付けておけばよさそうなもの。


結局現在の法体制の下、この子は夫婦の養子と届け出がなされた。

夫婦が離婚した場合の親権問題の複雑化を口にする人がいるが、それは養子という

システムに投げかけているものであって、代理出産とは何も関係ない。


何せ「なんたら学会」というやつは権威の亡者どもの塊の場合が多く、

現状の安定を崩す人間に対して実に冷たい。

それに屈せずに己の信念を貫いて行動する根津院長に対しては男気を感ずる。