凱旋門賞発走間近

世界最強馬とは?
と聞かれた時にまず思い浮かべるのはこのレースの勝ち馬だろうか。それだけ歴史と共に人の記憶に残す名勝負を演じてきている。遂に日本馬による歴史的な快挙がせまってきたということで、マスコミの取り上げ方も凄まじき物がある。


日本競馬界にとって今回のレースの持つ意味はとてつもなく大きい。一般スポーツとして名を落としていた競馬をここまで引き上げた最大の功労者は武豊JRAが作り上げた最大の広告塔だ。近年長らく現れていなかった真のアイドルホースとのタッグは、多少低迷しつつある競馬界を盛り上げるための必要条件。私は「名手」とも「歴代最強馬」とも思っていない。だがどちらも必要ではない。必要なのはたしかな成績と人気。それも幻想を抱かされた上での人気ではない。ハルウララとは違う、たしかな基盤の上での必然的人気。海外への流出を忸怩たる思いで眺めていたであろうJRAも、ついにその意味に気付きテレビ広告まで作り出した。
競馬界内部の話で言えば、長らく日本競馬を支えてきたサンデーサイレンスの世界へのお披露目も、実は日本競馬に課せられていた責務。その意味でもチャンスはこれが最後。だがいまやその意味を人々忘れさせるほどだ。


運は確実にきている。晴天であろう当日の天気になんといっても8頭という小頭数。そして誰が言い出したのか知らないが、20年ぶりの好メンバーと言われているがそれは嘘だ。去年もだったが近年稀に見る低レベル。パントルセレブルはおろか、モンジュ、サキー級の馬もこの中にはいない。よほど力を見せつける勝ち方をしない限り、世界の人々の記憶に語り継がれることはないだろう。
無論敵はある。誰しもが危惧しているであろうぶっつけと、何より初遠征という不安。馬場も快晴とはいえおそらく稍重。8頭中フランス馬が6頭。日本馬には勝たせたくあるまい。しっかりと散水をし、ペースメーカーも当然つける。だがこれは常に付きまとう敵であり、その程度は跳ね返す強さを持たねばならない。だからこそ勝った時には文句無しの世界最強の称号は手に入る。


12時間後。その瞬間は刻一刻とせまっている。
果して、日本競馬の歴史に新たな一ページを作ることができるのか。